損益計算書で利益を把握することができますが、貸借対照表ではお金の流れはわかりません。
キャッシュフローの重要性
会社が生き残り続けるために一番大事なのは、キャッシュフローです。
ほとんどの会社で利益=現金となっていないはずです。
この原因はわかりますか?
答えは、会計が発生主義だからです。
発生主義とは、現金の出入りと関係なく取引の事実があったかどうかで計上されるものです。
モノを売ったという事実で売上を計上するので、それが売掛金(回収が後日)の場合には、現金の入金はないが、売上が計上されている状態となり、利益と現金がズレることになります。
仕入れや経費でも同じです。
モノを仕入れるが、買掛金(支払が後日)の場合には、売上原価が計上されるが、現金の支払いがないなどです。
その他にも固定資産を買ったときもズレます。
固定資産は決められた耐用年数により、償却をしていきます。
例えば200万円の機械を現金で買って耐用年数が15年だとすると、現金は買った年度に減少しますが、減価償却費は15年かけて計上されることになります。
こういったことにより、利益と現金がズレるのです。
そのため、利益が出て順調だと思っていたら、債権の回収が滞るなどの原因によりお金が無くなって会社が回らなくなるという事態が生じることになるのです。
キャッシュフロー計算書・資金繰り予定表
貸借対照表・損益計算書では、お金の流れはわかりません。
では、何でお金の流れを把握するのでしょうか。
ここで登場するのが、「キャッシュフロー計算書」「資金繰り予定表」です。
「キャッシュフロー計算書」は1年間のお金の流れを営業活動、投資活動、財務活動の3つに分けて表し、最終的にお金がどれだけ増えた(減った)かを説明するものです。
しかし、キャッシュフロー計算書は過去の実績に対してのお金の流れを表すものですので将来の予測を立てることができません。
将来のお金の流れを予測する目的で作るものが「資金繰り予定表」です。
「経常収支(通常の事業活動から発生する現金収入-現金支出)」と「財務収支(経常収支に対してどう対処するかを検討)」でお金の動きを予測します。
家計でも同じですよね。
来月以降に大きな出費があり、マイナスになってしまう場合には、その出費分の捻出をどうしようか考えます。
その出費のために貯蓄をしたり、賞与があるからそれで何とかしようと考えるはずです。
その予定されている収入・支出を把握するものが資金繰り予定表です。
この2つを作ることにより、お金の今までの流れ(実績)と今後の予測を立てることができるので、事業の方針を固めることができます。
利益も大事だが、現金はもっと大事
利益を出すのは大事なことです。
しかし、現金はもっと大事です。
損益計算書・貸借対照表だけではなく、これにキャッシュフロー計算書・資金繰り予定表をプラスで作成して、損益だけにとらわれない経営をすることが会社が存続するうえで一番大事なことです。
資金繰り予定表を作っていない方がいらっしゃれば、まずは3ヶ月分作ってみましょう。